埼玉県深谷市緑ケ丘18-2
ランボー Arthur Rimbaud ( 1854-91 )
ヴェルレーヌとの怪しげな道行きで知られる、ベルギー国境近くのシャルルヴィル生まれのこの少年は、薄汚れた狂犬のように近寄りがたく、野良犬さながらに手なづけがたく、「皆殺しの天使」のように破壊的で、やはり近寄りがたい詩を書き散らして、詩壇から忽然と姿を消してしまい、後半生は一行の詩も書くことなく、37歳で没しました。
その詩はどれも、一行読む前に目が眩んで先に進めないほどの、凶暴なまでの光芒を放って、日常の存在を揺るがすインパクトに満ちています。滅多にないことですが、その詩の暴力的な美しさは、日本語訳を通してさえ、いささかも失われることがありません。とりわけ、小林秀雄訳の『地獄の季節』は、オリジナル以上にランボーの毒気を伝える、希代の名訳と言えるでしょう。ランボーというより小林秀雄の毒気にシビレて、自らも詩人の道に踏み込んだ人も多いのではないでしょうか。
今回は数多あるランボーの珠玉の詩篇のなかから、小林訳も堪能できる、『別れ』( Adieu ) を選んで、一緒に読んでみたいと思います。
講師: 橋本順一先生(慶應義塾大学名誉教授)
1948年(昭和23年)深谷市(旧豊里村)生まれ。慶應義塾大学文学研究科博士課程満期退学。1982-84年、フランス政府給費留学生としてモンペリエ大学、パリ第III大学に学ぶ。専門は19世紀フランス文学。とりわけフローベールが研究対象。最近は映画も。現在、慶応義塾大学名誉教授。
主要訳書に『レイモン・サヴィニャック自伝』、『ルイ十六世』(共訳)、『ドラキュラ・ホームズ・ジョイス―文学と社会』(共訳)
橋本順一先生(慶應義塾大学名誉教授)による『フランス・アラカルト』は、2016年度(平成28年度)で第4期目を迎えます。本年度からは教室が下記住所に変更になりますのでご注意ください。 場所:埼玉県深谷市緑ケ丘18-2
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